藤井風さんのライブチケットをめぐる投稿から、「どこでもいい」という言葉について考える機会がありました。どの席でも楽しみたい、当選できれば場所は問わない。そんな柔軟な姿勢は、一見するととても前向きです。
一方で、仕事や人生の行き先まで「どこでもいい」としてしまうと、話は変わります。自分の希望を決めないまま進むと、いつの間にか他人が決めた場所にいることになるからです。
「どこでもいい」は、本当に自由な選択なのか
ライブの座席なら、会場に行けることそのものが目的になる場合もあります。どの席でも、藤井風さんの音楽を楽しむという大きな目的は変わらないからです。
しかし、仕事や結婚、住む場所のように、その後の時間を長く過ごすものを選ぶときには、自分の希望順位が重要になります。
「条件がよければどこでもいい」「声をかけてもらえれば誰でもいい」「周りがすすめるならそれでいい」。そうやって選ぶと、決断の負担は減ります。けれど、結果に納得できなかったときに、自分の気持ちを置き去りにしていたことに気づくかもしれません。
決めなければ、他人が行き先を決める
PDFには、「自分はどこへ行きたいのか」を決めなければ、他人が行き先を決めるという考え方が示されています。
これは、周囲の意見を聞いてはいけないという意味ではありません。自分の希望があったうえで、人の意見を参考にするのと、最初から決めることを放棄するのとでは、結果が大きく違います。
たとえば仕事なら、勤務地や給与だけでなく、どんな人と働きたいのか、どんな時間を過ごしたいのか、何を通じて価値を届けたいのかを考えます。結婚なら、相手の条件だけでなく、どんな関係を築きたいのか、何を大切にして暮らしたいのかを考えます。
希望順位を出すことは、選択肢を狭めることではありません。自分が進みたい方向を知ることで、選択に納得しやすくなるのです。
「どこへ行きたいか」を言葉にする
自分の行き先を決めるために、まず次の3つを書き出してみましょう。
1つ目は、「どんな毎日を送りたいか」です。刺激の多い環境で挑戦したいのか、落ち着いた場所で一つのことを深めたいのか。理想の時間の使い方を具体的にします。
2つ目は、「何をしていると自然に力が出るか」です。人前で話す、文章を書く、相手の話を整理する、アイデアを形にするなど、無理をしなくても続けられる行動を探します。
3つ目は、「その力をどこで活かせるか」です。得意なことがあっても、活かせる場所がなければ、努力が空回りすることがあります。自分の力と環境の相性を見ることが大切です。
スイートスポットとは何か
PDFでは、人は生まれつき、スイートスポットと呼ばれる3つの職業を持って生まれてくると説明されています。
ここでいう職業は、今の肩書きだけではありません。自分の才能、情熱、そして人や社会に届けられる価値。その3つが重なる場所に、自分が本当にやるべき仕事があります。
「どこでもいい」と思っているときは、まだ自分のスイートスポットが見えていない可能性があります。反対に、「ここなら自然に力が出る」「この役割なら誰かの役に立てる」と感じる場所には、才能が活きる手がかりがあります。
大切なのは、最初から正解の職業名を当てることではありません。自分の中にある得意や情熱を知り、試しながら、力が伝わる場所に近づいていくことです。
今日からできる3つの質問
紙に、次の質問を書いて答えてみてください。
「私は、どこへ行きたいのか」
「私は、何をしていると自然に力が出るのか」
「私は、誰にどんな価値を届けたいのか」
答えが曖昧でも問題ありません。曖昧な部分は、これまで自分で決めてこなかった部分です。書くことで、他人の基準と自分の希望を分けて考えられるようになります。
藤井風さんの音楽をどの席で楽しむかは、「どこでもいい」という選択でもよいかもしれません。しかし、仕事や結婚、人生の行き先まで、いつも「どこでもいい」で決める必要はありません。
自分はどこへ行きたいのか。自分の才能はどこで活きるのか。
この問いを持つことが、人生の主導権を自分に戻し、スイートスポットへ向かう第一歩になります。


