艮為山(ごんいざん)

艮為山(ごんいざん)初爻

山は動かないものの象徴で、この卦の各爻(こう)は体の各部を「止める=慎む」ことを促すものです。ここでは、足を動かさなければトラブルはないという意味になります。やみくもに動き回らず、やってくるものを受け止めるのが吉。

艮為山(ごんいざん)2爻

進もうとしても、ふくらはぎが動かないことを示します。すなわち、進むも帰るも思うに任せないとき。自分より力が劣ると思う人間に指図されて、不快を感じることもあるでしょう。けれど、対立するのは賢明ではありません。上手に立ち回ってください。

艮為山(ごんいざん)3爻

腰が動かないので、背骨が悲鳴を上げることを示します。頑固になってしまい、物事が進まないという意味。物事が途中でめっきり悪化する、「腰が折れる」という恐れもあります。思い切って方針を見直すとか、方向転換することが吉と出ます。

艮為山(ごんいざん)4爻

とどまるべきところにとどまり、間違いが起こることを防ぐので、良いという意味です。現状維持が無難。新しい計画の実行は延期したほうがいいでしょう。また、自分の希望や意見を外に出すと誤解を生むので、胸にしまっておいたほうがいいときです。

艮為山(ごんいざん)5爻

口から出るものを止めたほうがいいと促す爻(こう)です。失言、飲食の場での失敗、情報の洩れに気をつけたいときです。何か言おうとするときには、頭の中で練り直し、よく考えてからにしてください。そうすれば、多くの人の心を動かす話ができるでしょう。

艮為山(ごんいざん)上爻

知識や徳の山の頂上に達することを示します。長期に及んだ努力が報われます。すべてに充実感があり、盛大な区切りをつけることができるでしょう。また、これまで停滞していたことが、ここからは動き始めます。次の計画に着手してください。

震為雷(しんいらい)

震為雷(しんいらい)初爻

状況が安定しても、油断は大敵。突然驚かされることがあるので注意という意味の爻(こう)です。とはいえ、その驚きは雷のように音だけで実害がなく、通り過ぎれば、ほっとすることも示します。心配がありますが、それほどのダメージはない見込み。備えあれば憂いなしと心得てください。

震為雷(しんいらい)2爻

地震や雷などの災害の恐れがあれば、財宝を捨てて丘へ逃げよというストーリーです。驚くような出来事がありますから、身の安全を第一に考えてください。失ったものは戻る可能性が高いので、欲をかかないこと。命より大事なものはありません。

震為雷(しんいらい)3爻

雷が遠ざかったと思ったら、近くで轟音を聞くというように、恐れおののく出来事がある暗示です。立場も弱く、安泰を招く力もありません。自分を奮い立たせて、現状を守るようにすれば、難を逃れられます。また、思いがけない知らせがあるかもしれません。

震為雷(しんいらい)4爻

泥の溝に落ちた雷は光らないことを示します。苦境に落ち、輝けないと解釈できます。なぜ苦境に落ちるかと言えば、動いてはならないときに動くからです。自分の能力を省みず、人真似をして失敗することを戒めています。

震為雷(しんいらい)5爻

次々と雷が鳴るように驚く出来事があり、状況は予断を許さないが、大きく失うことはないという爻(こう)です。動揺しないで、臨機応変な対応を心がけてください。人にやっかいなことを頼まれて難儀する暗示もあります。今は断ったほうが無難。

震為雷(しんいらい)上爻

雷が迫ってきたのは隣だが、自分に落ちるかのようにおろおろするというストーリーです。物事を正しく見ることができない、疑心暗鬼の状態と言えます。冷静さを保ちましょう。一方、用心深くなれば、トラブルを逃れられるときでもあります。

火風鼎(かふうてい)

火風鼎(かふうてい)初爻

神に捧げる食べ物を器で煮る様子を示す卦「火風鼎」のはじめです。まずは、器に残っていたカスを除き、きれいにしなければなりません。まず、内部の弱点を整理すべきということ。旧弊の残滓を拭い去るように努めたいときです。

火風鼎(かふうてい)2爻

器の食べ物がことことと煮えつつあります。けれど、邪魔するものが現れるので、誘惑に負けず、本業に専念すべきとき。そうすれば無事を得ることを示します。あなたの作業を邪魔するものとは、身内や異性かもしれません。

火風鼎(かふうてい)3爻

火の勢いが強く、器の中の雉肉が煮えすぎてしまうことを示します。ですから、冷やす必要があります。この爻(こう)が示すのは、やりすぎはよくないということです。無理に自分を押し通すと失敗します。何事もほどよい火加減となるよう調整しましょう。

火風鼎(かふうてい)4爻

力が弱い者に頼ると器が引っくり返り、神に捧げる食べ物が台無しになることを示します。自分の趣味に溺れたり、怠けたりすれば信用を失ってしまいます。また、志の低い人と陰謀を巡らせば、身を滅ぼしかねません。くれぐれも注意を。

火風鼎(かふうてい)5爻

鼎(供物を煮る三脚の神器)には、持ち運ぶための取っ手があります。それを賢人の言葉を聞く耳とみなし、そこが黄金であることを示します。経験者のアドバイスを素直に聞くと吉ということ。これまでの努力が報われる強運のときだからこそ謙虚な姿勢が大切です。

火風鼎(かふうてい)上爻

鼎の、玉飾りのついた立派なつるを示します。その神器を私物化せず、公のものとして使える君子が大吉であるという爻(こう)。物事は発展し、栄誉を受け、順調な運気です。慢心せず、自分の思いでなく、目的の遂行を優先すべきです。