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博多高校ハンドボール部の問題から考える|厳しくすれば才能は伸びるのか

「厳しくすれば、人は成長する」

スポーツや教育の場では、長いあいだ、厳しさが指導の正しさと結びつけられてきました。強い言葉をかける。失敗を繰り返し指摘する。逃げられない環境に置く。そうすれば、選手は鍛えられ、結果を出せるようになると考えられていたのです。

しかし、厳しさと恐怖は同じものではありません。相手の成長を願って課題を伝えることと、相手を自分の型にはめることは、まったく違います。

福岡・博多高校ハンドボール部をめぐり、顧問が男子部員へ近距離からボールを繰り返し投げる動画が拡散しました。インターハイに出場した強豪校であることから、指導のあり方に注目が集まり、学校は9月8日、不適切な指導だったとして公式に謝罪しました。

この出来事から考えたいのは、誰かを責めることだけではありません。「厳しくすれば才能は伸びるのか」「結果が出ているなら、指導方法も正しいのか」という問いです。

結果が出ていても、指導方法が正しいとは限らない

強いチームには、厳しい練習がある。そう聞くと、厳しい指導そのものが強さの理由に見えることがあります。しかし、強豪校になったという結果だけで、すべての指導方法が正当化されるわけではありません。

結果を出すために、選手が自分で考え、努力し、仲間と協力した部分もあるでしょう。指導者の厳しさだけが、結果を生んだとは限りません。

結果と方法は、分けて考える必要があります。勝てたかどうかと、どんな状態で成長したかは別の問題です。恐怖で動けるようになったとしても、自分で考えて動く力が育っているとは限りません。

恐怖で動かすと、短期的には従わせられる

相手を怖がらせれば、指示に従わせることはできます。怒られないように練習する。失敗を隠す。指導者の顔色を見て行動する。短期的には、まとまりが生まれたように見えるかもしれません。

しかし、その状態では、選手は「どうすれば良くなるか」よりも、「どうすれば怒られないか」を考えるようになります。

失敗を恐れる人は、新しい動きを試せません。自分の判断で挑戦できません。仲間のミスを責めるようになることもあります。これでは、本人が本来持っている能力を出し切れません。

厳しさが必要な場面はあります。けれども、厳しさの目的は、相手を萎縮させることではありません。自分で考え、行動し、改善できる状態をつくることです。

相手を自分の型にはめていないか

指導やマネジメントで起こりやすいのが、自分の成功体験を相手にも当てはめることです。

「自分は厳しくされて成長した。だから相手にも同じ方法が必要だ」

そう考えてしまうと、相手の性格や得意な学び方を見なくなります。すぐに動ける人もいれば、時間をかけて理解する人もいます。言葉で整理すると力を出せる人もいれば、実際に試しながら成長する人もいます。

相手を自分の型に合わせるのではなく、相手の能力が出る方法を探す。それが、本当の意味での指導です。

「才能がない」のではなく、出る場所が違うだけ

自分には才能がないと思っている人もいるでしょう。しかし、能力は、どの環境でも同じように見えるものではありません。

大きな声で競う場所では目立たなくても、相手の変化に気づく場面で力を発揮する人がいます。速さを求められると苦しくても、丁寧さが必要な仕事では信頼される人がいます。

評価されない能力を見て、「才能がない」と決めつけてはいけません。まだ、その人の力が出る場所や方法に出会っていないだけかもしれないからです。

スイートスポットは、能力が出る場所を探すこと

人は、生まれつき3つの職業を持っていると言われます。才能、情熱、価値観が重なる場所です。私はそこを「スイートスポット」と呼んでいます。

才能を伸ばすために必要なのは、ただ厳しくすることではありません。その人の能力が自然に出る環境を見つけることです。

今日から、次の3つを考えてみてください。

  1. どんな場面なら、失敗を恐れず挑戦できるか
  2. どんな役割なら、自然に人の役に立てるか
  3. どんな方法なら、自分の力を伸ばせるか

この答えが、あなたのスイートスポットを探す手がかりになります。

厳しくされないと伸びない人もいるかもしれません。けれども、すべての人に同じ厳しさが必要なわけではありません。相手を型にはめるのではなく、その人の能力が出る場所をつくる。

それが、人を育てる側にも、成長する側にも必要な考え方です。




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