沢山咸(たくざんかん)

沢山咸(たくざんかん)初爻

何事も人間を信じることから始まるという卦の初期段階です。心ははるか先を見ていますが、最も物事の変化を感じ取っているのは、足の親指であることを示します。足先は、歩くのに一番初めに動くところ、つまり、最初の一歩を大切にしたいときという意味です。焦らないこと。

沢山咸(たくざんかん)2爻

感応する部分が、足の先から進展して、ふくらはぎであることを示します。体の主要部分とは離れていることから、各所との連絡がうまくいかないことを暗示。本来進むべき道からそれてしまいがちなので、常に足元を確認しましょう。

沢山咸(たくざんかん)3爻

足の先から始まって、股の部分まで感応の状態が進んできたことを示します。体の中心ではありますが、止まるべきなのに止まらないという意味があります。落ち着かず、周囲に振り回される暗示。不摂生や、情欲による失敗に注意したいときです。

沢山咸(たくざんかん)4爻

体の胸の部分に焦点が当たります。正しい心でいれば問題はありませんが、心を揺らす出来事も多くあり、姿勢を問われるときです。目先の利に惑わされないよう注意。また、年下の人間に苦労をかけられます。あなたの指示が曖昧だったり、途中で方針を変えたりすれば、さらに非難されます。

沢山咸(たくざんかん)5爻

体の背中の部分に焦点が当たります。背中は敏感とは言えないことから、悪いものとは感応せず、近づくことがない。そのため、安泰です。危険はないものの、鈍感ということは志が低いと言われても仕方がない状況です。しかし、無理をせず、無事であることを喜びましょう。

沢山咸(たくざんかん)上爻

顔の中の口に焦点が当たります。口先だけになりやすいという意味です。失言に注意するほか、人の甘言に惑わされないよう気をつけましょう。言葉だけでは、人を感心させたり、説得したりができません。誠実さを第一にしてください。

離為火(りいか)

離為火(りいか)初爻

穴から這い上がり、明かりを求めますが、前方にあるかすかな光は、本物の火かどうか疑わしいことを示します。その明かりは、大きくなるか消えるかも不明です。物事が不安定で、姿を変えやすいということです。しばらく様子を見ることが望ましいでしょう。

離為火(りいか)2爻

明るい光に包まれ、美しく高貴な色の布を掲げることを示します。強運に恵まれ、チャンスも訪れますので、しっかりとつかんでください。積極的に行動したいときです。これまで陽陰に置かれていたものが陽の目を見るという意味もあります。

離為火(りいか)3爻

沈む太陽を呼び戻すことはできないという意味があります。終息を迎えつつある出来事には区切りをつけ、去る者は余裕の表情で見送るべきです。追いすがっても、益はありません。その場に合った振る舞いをするとよいという助言でもあります。

離為火(りいか)4爻

いったん燃えきったと思ったところから火が上がり、あっと言うまに燃え広がる大惨事を示します。しかも、あなたは自らその真ん中に入ってしまいそう。予想外の災難が起こる恐れがあります。むやみに動いては火傷を負うばかり。じっとしているほかありません。

離為火(りいか)5爻

泣きたいほどの苦労があるときです。自分で考え、計画通りに進めようとしますが、障害が現れます。関係する分野の先輩たちに相談するといいでしょう。同時に、自分が苦しいからこそ、人の憂慮がわかり、思いやりを持てるときでもあります。

離為火(りいか)上爻

ボスだけを討って、兵は捕らえないということを示します。勇気を奮い起こし、知恵を振り絞って決断し、秩序を取り戻すときです。これまでの方法を見直し、新たな一歩を踏み出すようにすると、長年のトラブルが取り除かれるでしょう。

坎為水(かんいすい)

坎為水(かんいすい)初爻

度がすぎて、穴に落ちることを示します。暗く深い穴、つまり悩みや苦しみが満ちた狭い空間から這い上がる足がかりがなく、八方塞がりです。何事も思うようにならないでしょう。忍の一字で、運が変わるのを待つほかありません。

坎為水(かんいすい)2爻

困難の中にいて、さらにやっかいごとが次々と起こります。こういうときもある、とすべてを受け入れたときに、かすかな希望が芽生えてくるでしょう。転んでも、ただでは起きないという気持ちの強さがありますから、経験値を高めていくことができます。

坎為水(かんいすい)3爻

体力を温存しようと眠ってしまい、危険が近づいていることに気づけないという図です。ついには周囲を水で囲まれるような事態となり、進退窮まることが考えられます。身動きが取れないので、今はじっとしているほかはないでしょう。

坎為水(かんいすい)4爻

窓から差し入れた酒などは簡素な器に入れていたが、その真心が君子に通じることを示します。つまり、正面からでなく、奥の手だとか秘密めいた方法で叶うという意味です。これは後ろ暗いものではありません。物事を飾らず、誠意を尽くすことが大切です。

坎為水(かんいすい)5爻

溢れそうになっていた水を平らにすることで安心できるという意味です。大きな進展はなく、マイナスからゼロに戻せるといった状況ですが、だいぶ気分が明るくなるでしょう。油断は禁物と気を引き締めながら、何事も7割、8割の出来でよしとする寛容さを持ってください。

坎為水(かんいすい)上爻

縄で縛られ、棘の上に何年も置かれるというストーリーの爻(こう)です。状況は厳しく、心が折れてしまいそうになりますが、ヤケを起こさないこと。間違った道にいることがハッキリした場合は、たとえ費用や時間がかかっても、やり直す勇気を持ちましょう。