「お金があれば、自由になれる」
これは、多くの人が一度は思い描く未来です。十分な資産を築いて仕事を辞める。時間を自由に使う。嫌なことをしなくていい生活を送る。
実際、資産1億円超を築き、41歳でFIREした男性の話が注目されました。仕事を辞めた後、家族や社会との関係で思わぬ壁に直面したという記事が議論になったのです。
この話題が考えさせるのは、FIREが正しいか間違っているかではありません。「お金があれば自由になれる」という考えを、もう一度見直すことです。
お金は、選択肢を増やしてくれます。しかし、選択肢が増えたあと、何を選ぶのかは自分で決めなければなりません。
お金があれば、すべての問題が解決するのか
お金があれば、生活の不安を減らせます。働く時間を減らすこともできます。やりたいことに挑戦する余裕も生まれます。
ただし、お金で解決できる問題には限りがあります。
家族とどんな関係をつくるのか。社会とどう関わるのか。毎日、何を目指して過ごすのか。自分は何を大切にしているのか。
これらは、お金を持っているだけでは答えが出ません。むしろ、仕事という日々の役割がなくなったとき、今まで考えなくても済んでいた問いが、急に目の前に現れることがあります。
自由とは、何もしなくていい状態ではありません。自分で選び、自分で選んだ結果を引き受ける状態です。
仕事を辞める前に、何を残すかを考える
仕事がつらいと、「仕事を辞めれば自由になれる」と思います。その気持ちは自然です。疲れ切った状態から離れることは、とても大切です。
しかし、仕事を辞めた後の生活に、何を置くのかも考えておく必要があります。
誰と時間を過ごすのか。どんな活動を続けるのか。人の役に立つ方法はあるのか。毎週、何を楽しみにするのか。
これらがないまま、仕事だけを手放すと、自由な時間が空白になる可能性があります。時間があるのに、やることがない。人と会う機会が減る。自分の存在価値が分からなくなる。
仕事を辞めることが問題なのではありません。仕事を辞めた後も、自分が生きる理由を持てるかどうかが重要なのです。
お金は目的ではなく、目的へ向かう手段
資産を増やすことは、悪いことではありません。将来の不安を減らし、家族を守り、やりたいことに挑戦するための資金になります。
ただし、お金を最終目的にすると、いくら増えても満足できなくなることがあります。「あと1000万円あれば」「あと少し増えれば」と、終わりのない目標を追い続けるからです。
大切なのは、お金を何のために使うのかを決めることです。
自由な時間で、誰と過ごしたいのか。どんな経験をしたいのか。どんな価値を生み出したいのか。目的が決まれば、お金は人生を支える道具になります。
「自分は何のために生きるのか」を先に考える
お金があれば自由になれるのではありません。自分が何のために生きるのかが分かっていて、そのためにお金を使えるとき、自由を感じられるのです。
仕事を辞める前に、次の3つを考えてみてください。
- お金と時間が十分にあったら、誰と過ごしたいか
- その時間を使って、何を生み出したいか
- 自分がいなくなったあとも、何を残したいか
答えは、すぐに見つからなくても大丈夫です。問いを持ち続けることが、人生の方向を決める手がかりになります。
スイートスポットは、生きる目的が見える場所
人は、生まれつき3つの職業を持っていると言われます。才能、情熱、価値観が重なる場所です。私はそこを「スイートスポット」と呼んでいます。
スイートスポットにいると、仕事と人生の目的が近づいていきます。お金を稼ぐためだけではなく、自分の能力を使い、好きなことに取り組み、誰かの役に立てるからです。
資産を築くことも、FIREすることも、人生の選択肢の一つです。ただし、それが幸せの完成ではありません。自由になったあと、何のために生きるのかを選ぶ必要があります。
お金を増やす前に、自分の目的を見つける。仕事を辞める前に、仕事の代わりに何をするかを考える。
あなたは、お金と時間が十分にあったら、何のために生きたいですか?














